新築住宅や中古住宅を購入する際に、住宅性能評価を取得するかどうか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、住宅性能評価を取得するメリット・デメリットを詳しく解説します。住宅性能評価の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
住宅性能評価とは
住宅性能評価とは、住宅の性能を客観的に評価する制度です。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づく法定制度であり、評価機関に申請して評価を受けると、評価結果が記載された「住宅性能評価書」を交付されます。住宅性能評価制度によって、高機能・高性能と謳っている住宅がどの程度の性能なのか客観的に判断することができるようになりました。
住宅性能評価の評価項目は?
住宅性能評価の評価項目は、新築住宅の場合、以下の10項目です。住宅の品質や快適性を総合的に評価するための基準となりますね。さっそくそれぞれの項目について簡単にご紹介します。
① 構造の安定
住宅の建築構造が地震や風などの外部の力に対してどの程度の強さまで傷を受けたり壊れたりしないのかを評価します。
② 火災時の安全:
火災発生時において、住宅が住人の安全を確保できるかどうかを検証します。火災時の避難経路や延焼を防止するための対策などを評価します。
③ 劣化の軽減
住宅の材料や部品が時間とともに劣化することを考慮し、その劣化を軽減する設計や施工がされているかを評価します。
④ 維持管理・更新への配慮
給排水管・給油管・ガス管など点検や清掃・補修のしやすさを評価します。
⑤ 温熱環境・省エネルギー消費量
冬は暖かく、夏は涼しく過ごすためにエネルギーの使用量を削減しつつ冷暖房を効率よく行うために住宅の断熱化や気密化、冬の結露発生を抑制するための対策などを評価します。
⑥ 空気環境
室内の空気品質が良好であるかどうかを、建材の選定と換気対策を評価します。
⑦ 光・視環境
ドアや窓の開口部からの自然光の取り込みを通じて、住宅内部の明るさなど確保されているかを評価します。
⑧ 音環境
床や壁、ドアや窓などの開口部の遮音性を高める対策がどの程度実施されているのかを評価します。
⑨ 高齢者等への配慮
手すりの設置や勾配の工夫等、高齢者などへの配慮の対策が実施されているのかを評価します。
⑩ 防犯
住宅へ侵入されないように、開口部などに対策がされているのかを評価します。
必須分野は「構造の安定」「劣化の軽減」「維持管理・更新への配慮」「温熱環境」の4項目です。
それ以外の項目は評価を依頼する人が自由に選ぶことができるので、自分が必要と考える分野を選ぶのも良いでしょう。
住宅性能評価を取得するメリット
1. 住宅の性能を比較することができる
住宅性能評価では、耐震性、耐久性、省エネ性、バリアフリー性、維持管理性など、住宅のさまざまな性能が評価されます。等級や数値で表示されるため、目には見えない住宅の性能を比較しやすくなります。
2. 住宅ローンや地震保険料が優遇される
住宅性能評価を取得した住宅は、国が定めた一定の基準を満たした住宅であることの証明になります。そのため、住宅ローンの金利優遇や地震保険料の割引などのメリットを受けることができます。
具体的には、耐震等級に応じて、地震保険料が10~50%割引になります。また、住宅ローンの金利は、フラット35の場合、当初一定期間の金利が引き下げになる【フラット35】Sや【フラット35】S中古タイプを利用することができます。
3. 資産価値が高くなる可能性がある
住宅性能評価を取得した住宅は、耐震性や耐久性などの面で優れている点や、住宅の劣化のしにくさも評価項目にあるため、将来的に高い価格で売却できる可能性があります。
4. 紛争の解決がしやすくなる可能性がある
住宅性能評価書は、住宅の性能や工事内容を客観的に証明する書類です。そのため、住宅の欠陥や不具合を原因とする紛争が発生した場合、住宅性能評価書が解決の助けとなる可能性があります。
住宅性能評価は、住宅を建てる際、または購入する際に検討したい制度です。住宅の性能を比較したり、住宅ローンや地震保険料の優遇を受けたりすることで、安心して快適な暮らしを送ることができます。
住宅性能評価を取得するデメリット
費用がかかる
住宅性能評価を取得する費用は、評価機関によっても異なりますが、10万から20万円ほどが相場です。また、評価項目や住宅の規模などによっても費用は変動します。
住宅性能評価は、住宅の性能を客観的に評価する制度です。取得することで、さまざまなメリットを得ることができますが、追加で費用がかかるなどのデメリットもあります。
住宅性能評価の取得は、必ずしも必要というわけではありません。住宅性能評価の取得を検討する場合は、メリットとデメリットを比較検討した上で取得を検討しましょう。