長期優良住宅のメリット・デメリットを徹底解説!

新しい住宅を検討しているあなた。安心して快適な生活を送りたい一方で、将来の投資価値や維持費用も気になりますよね。そこで今回は、「長期優良住宅」に焦点を当て、そのメリットとデメリットについて詳しく解説します。長寿命や省エネ、税制優遇などのメリットは一見魅力的ですが、建築コストの高さや定期的なメンテナンスの必要性も忘れてはいけません。しっかりとした情報を得て、将来を見据えた住まい選びのヒントを得ましょう。


長期優良住宅とは

長く住み続けるために必要な基準をクリアし、国から認められた優良な住宅のことです。国土交通省の定義によれば、新築住宅は劣化対策や耐震性など8つの基準をクリアし、長期間にわたり良好な状態で使用できるように設計されています。簡潔に言うと、長期優良住宅は快適で安全な住環境を提供するために、厳しい基準をクリアした認定住宅なのです。


長期優良住宅の基準とは?

長期優良住宅の認定には厳格な基準が設けられています。これらの基準をクリアすることで、住宅は数世代にわたって耐久性を維持し、持続可能な住環境を提供することが期待されています。では、その認定基準とは一体どのようなものなのでしょうか?


劣化対策

長期優良住宅は、数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できるよう、劣化対策が施されています。これにより、住宅の耐久性が向上し、所有者は安心して住み続けることができます。


耐震性

極めて稀に発生する地震に対する住宅の損傷を最小限に抑え、改修を容易にするための耐震性が求められます。これにより、地震などの災害にも強く、安全な住まいが提供されます。


省エネルギー性

断熱性能などの省エネルギー性能が確保されていることが求められます。住宅がエネルギー効率的であれば、維持費用の削減や環境への配慮が可能となります。


維持管理・更新の容易性

設備配管などの耐用年数が短い部分については、維持管理が容易に行えるように措置が講じられています。これにより、住宅全体の状態を良好に保つことが期待されます。


居住環境

地域の居住環境を維持し、向上させることが求められています。良好な景観の形成などが含まれ、住まいが単なる建物ではなく、地域全体と調和することが強調されています。


住戸面積

住戸面積は、良好な居住水準を確保するために必要な規模を有していることが求められます。住まい手にとって快適で機能的なスペースが提供されることが期待されます。


維持保全計画

将来を見据えて、建築時から定期的な点検・補修に関する計画が策定されていることが要件とされています。これにより、住宅の長寿命化を促進し、維持管理が効果的に行われます。


災害配慮

自然災害による被害を防止または軽減するための配慮が求められます。これにより、住まいが安全で災害に強い環境を提供できるようになります。


これらの基準をクリアすることで、長期優良住宅は高品質で持続可能な住環境を提供し、住まい手にとって理想的な居住空間となります。

参考:国土交通省 長期優良住宅


長期優良住宅のメリットは?


長く安全な住宅にすみことができる

長期優良住宅は、その名の通り、長期間にわたり安心して住むことができる住宅です。日本は地震などの自然災害が多い国であり、そのような状況でも安全性を重視した建築基準がクリアされています。このため、長期優良住宅に住むことで、災害に対して強固な構造を有する安全な住まいを手に入れることができます。

さらに、長期優良住宅の認定を受けていると、不動産市場での評価も高まります。将来的に物件を売却する際には、資産価値が落ちにくく、認定を受けていない住宅と比較して高値で取引される可能性が高まります。この点からも、長期優良住宅は住み続けるだけでなく、将来的な資産価値の面でも魅力があります。


税制優遇を受けることができる

※2024年3月31日までに新築された住宅

認定を受けた長期優良住宅は、節税の優遇措置も受けることができ、住まい手にとってさらなる経済的なメリットが広がります。


登録免許税の税率引き下げ

登録免許税は、不動産の登記手続きにかかる税金です。長期優良住宅を取得した場合、登録免許税の税率が引き下げられます。

具体的には、以下のとおりです。

保存登記:0.15%→0.1%

移転登記(戸建て):0.3%→0.2%


不動産取得税、課税標準からの控除額の増額

不動産取得税は、不動産を取得した場合にかかる税金です。長期優良住宅を取得した場合、不動産取得税の課税標準からの控除額が増額されます。

具体的には、以下のとおりです。

控除額:1,200万円→1,300万円


固定資産税、減税措置(1/2減額)適用期間の延長

固定資産税は、不動産を所有している場合にかかる税金です。長期優良住宅を取得した場合、固定資産税の減税措置(1/2減額)の適用期間が延長されます。

具体的には、以下のとおりです。

適用期間:1~3年間→1~5年間


長期優良住宅を取得した場合、上記の税制優遇を受けることができます。これらの税制優遇を受けることで、住宅の購入費用やランニングコストを抑えることができます。


住宅ローン金利の引き下げ


フラット35 S(金利Aプラン)及び維持保全型フラット35

フラット35 S(金利Aプラン)及び維持保全型フラット35の借入金利を当初5年間 年0.5%引き下がります。

長期優良住宅には、住宅ローンの特典が数多く用意されています。そのなかでも特に注目すべきは、フラット35 S(金利Aプラン)および維持保全型フラット35における借入金利の引き下げです。最初の5年間は年0.5%、それ以降6年目から10年目までは年0.25%の金利引き下げが適用されます。


フラット50

フラット50、返済期間の上限返済期間の上限が50年間となります。長期優良住宅を建築する場合、フラット50の返済期間の上限が、50年間まで延長されます。

これにより、毎月の返済額を抑えながら、長い期間で住宅ローンを返済することができます。住宅売却の際に、借入金利のままで購入者へ住宅ローンの返済を引き継ぐことが可能です。


地震保険料の割引

長期優良住宅の認定を受けた住宅は、地震保険料の割引を受けることができます。

割引率は、耐震等級によって異なります。耐震等級2の場合、30%の割引が受けられます。耐震等級3の場合、50%の割引が受けられます。

免震建築物は50%の割引を受けられる。長期優良住宅の認定基準には、免震建築物も含まれます。免震建築物とは、地震の揺れを吸収する免震装置を備えた建物のことで、耐震等級3と同等の耐震性能を有しています。


補助金が利用できる

具体的には、国が実施する「地域型住宅グリーン化事業」の補助金を受けることができます。この補助金は、住宅1戸当たり140万円(最大)となっており、中小工務店で木造住宅を建てた場合、補助金を受けることができます。

この補助金を受けるには、まず、地域の中小工務店が「地域型住宅グリーン化事業」に採択を受ける必要があります。採択を受けた工務店と契約して住宅を建築すれば、補助金の申請をすることができます。



長期優良住宅のデメリットは?

長期優良住宅には、さまざまなメリットがありますが、デメリットもいくつかあります。ここでは、長期優良住宅のデメリットを3つにまとめました。


お金がかかる

長期優良住宅の認定を受けるためには、書類の作成や代行申請に別途費用がかかります。申請は住宅を建てているハウスメーカーや工務店に依頼するケースが多く、会社にもよりますが20万~30万ほどお金がかかります。

また、長期優良住宅の基準を満たす住宅を建てるためには、一般的な住宅よりも建築コストが高くなる傾向があります。これは基準を満たすために、より高品質な材料や工法を用いる必要があることによるものです。


定期点検やメンテナンスが必要

長期優良住宅は、長寿命を目指すためには定期的な点検やメンテナンスが不可欠です。メンテナンスの履歴をしっかりと記録しておく必要があり、これは住む人にとって一定の手間や費用がかかることを意味します。しかし、これによって住宅の健康状態を保ち、将来的な修繕費を抑えることが期待できます。


長期優良住宅には、デメリットもありますが、長期でみると金利や税金・修繕費が抑えられたり、何よりも長く安心できる住まいにすめるというところは忘れてはいけません。


いかがでしたでしょうか? 長期優良住宅には魅力的なメリットが多く存在しますが、同時にデメリットも見逃せません。重要なのは、自身のライフスタイルや将来の計画に合った選択をすることです。メリットを受けるためには、初期の建築コストが高くなることや、定期的なメンテナンスが必要となることも理解し、計画的な住まい選びが求められます。

長期優良住宅は将来にわたり、安心して住むための一つの選択肢と言えるでしょう。しかし、メリットとデメリットのバランスを考えながら、慎重に検討してください。最終的には、あなたと家族が幸せな生活を送るために最適な住まいを見つけることが大切です。