「玄関、もっと広くすればよかった」は入居後に最も多い後悔のひとつ
家を建てて実際に暮らし始めてから、「玄関をもう少し広くしておけばよかった」という声はよく聞かれます。
ただ、こうした後悔の原因を詳しく聞いてみると、広さそのものより、収納・照明・素材の計画が不十分だったケースがほとんどです。同じ2畳でも、照明の入れ方と収納の配置次第で、広く感じる玄関にも息苦しく感じる玄関にもなります。
この記事では、岐阜・関市エリアで60年以上、住宅設計に携わってきたフクタハウスの設計士が、設計段階で押さえておくべきポイントを施工事例とともに解説します。
まず「玄関」と「玄関ホール」の違いを整理する


記事を読む前に、ひとつ確認しておきたいことがあります。
「玄関ホール」とは、上がり框(かまち)より先、廊下や各部屋の入口までのホール部分を指します。土間と呼ばれる入口の一段低い部分は、玄関ホールとは別の空間です。
この区別をしておかないと、「2畳の玄関」という言葉が土間込みなのかホールのみなのかで、実際の広さの感覚が大きくズレてしまいます。本記事での広さの目安は、すべて「ホール部分のみ」の面積です。
玄関ホールの広さ、家族構成別の目安

広さよりも先に「何をする玄関か」を決める
広さの数字にこだわる前に、「この玄関で何をするか」を整理することが先決です。ベビーカーを毎日出し入れする家庭、アウトドア用品を土間に置きたい家庭、来客を玄関でしばらく話す機会が多い家庭——それぞれで必要な広さはまったく異なります。
家族構成別の目安(ホール部分のみ)
- 約1.5畳(最小限)——単身・夫婦2人向け。照明と素材の工夫で視覚的な広さを確保することが重要
- 約2〜3畳(標準)——子育て世代3〜4人向け。シューズクロークを隣接させると使い勝手が大きく向上する
- 約4畳以上(ゆとり)——来客が多い家庭やベビーカーを毎日使う家庭向け。照明計画が弱いと「広いだけ」の空間になりやすい
注意:これらの数字は土間の面積を含みません。玄関全体の広さを設計する際は、ホールと土間をそれぞれ別に計画してください。
「広さが足りない」と感じる多くの場合、実は収納の計画不足や照明の選択ミスが本当の原因です。面積を増やす前に、使い方の整理から始めましょう。
設計段階で後悔しやすい2つのポイント

① 収納を後回しにした
「下駄箱があれば十分」と思っていたところ、子どもの成長とともに靴・スポーツ用品・傘・コートが溢れてしまうケースは非常に多くあります。
シューズクロークを間取り段階から検討するかどうかが、玄関まわりの使い勝手を決める最初の分岐点です。後から壁を壊して収納を追加することは現実的ではありません。シューズクロークを土間続きで間取りに組み込めば、ホール自体が2畳程度でも機能的で余裕のある玄関になります。
② 照明が暗すぎた・明るすぎた
玄関の照明は、帰宅したときの安心感と、家の顔としての印象の両方を担う重要な要素です。それにもかかわらず、照明計画が最も後回しにされやすい場所でもあります。
シーリング1灯だけでは顔に影が出やすく、蛍光灯系の均一な光では生活感が強く出ます。逆に明るすぎると帰宅時の「ほっとする感じ」が失われてしまいます。
照明計画で玄関の印象は大きく変わる

3つの役割を意識して選ぶ
玄関照明には大きく3つの役割があります。この3つを意識して組み合わせることが、「明るいだけでもなく、暗すぎもしない」理想の玄関照明につながります。
- 機能照明——足元を安全に照らす。靴の脱ぎ履き時に手元・足元が見えること
- 演出照明——ダウンライトや間接照明で陰影をつくる。空間に奥行きと雰囲気を生み出す
- 印象照明——来客が最初に目にする空間としての演出。家全体のトーンを伝える役割
電球色が基本。素材との相性を必ず確認する
電球色(2700〜3000K)が玄関照明の基本です。温かみのある光が框や石材を引き立て、帰宅時に「ほっとする」印象をつくります。
ダウンライト1〜2灯に加えて、框まわりの間接照明を組み合わせるパターンが最も失敗しにくい構成です。框の下からわずかに光を入れるだけで、空間が引き締まった印象になります。
光沢のあるタイルは照明器具が映り込むため、素材と照明の相性を事前に確認することが必須です。サンプルを実際の光の下で見ることを強くおすすめします。鏡まわりだけ昼白色のブラケット照明を追加すると、実用面も補えます。
フクタハウスの玄関ホール、実例をご覧ください


「実際にどんな玄関ホールを手がけてきたのか見たい」という方へ。鏡を効果的に使った事例・照明にこだわった事例・和モダンの縦格子建具など、さまざまなスタイルの玄関ホール実例を写真付きでご紹介しています。
その他の施工事例は施工事例一覧からもご覧いただけます。
まとめ:玄関ホールで後悔しないための5つのポイント
- 「玄関ホール」と「土間」を分けて考える——広さの目安はホール部分のみ
- 広さより先に「何をする玄関か」を整理する——ベビーカー・収納物・来客対応など用途を先に決める
- 収納は間取り段階で決める——シューズクロークは後から追加できない
- 照明は3つの役割で考える——機能・演出・印象のバランスを意識する
- 素材と照明の相性を事前に確認する——光沢タイルは器具の映り込みに注意
玄関ホールは、毎日必ず通る場所です。面積だけでなく、収納・照明・素材の3点を設計段階でしっかり計画することで、毎日の帰宅が楽しくなる空間になります。
フクタハウスでは、玄関まわりの間取りから照明計画まで、設計士がご一緒に考えます。「まだ漠然としている」という段階からでもお気軽にご相談ください。

